[Research Activity]
○短期留学
○被災地写真撮影調査(防災科学技術研究所)の協力
○海外の地震国における世界遺産組積造建築物の耐震性
○地震災害を受けた世界遺産建造物の構造修復計画
○途上国組積造住宅の地震災害軽減化研究
○木造五重塔の耐震・耐風性能に関するモニタリング調査
○伝統構法と新技術の融合による伝統的木造建築の耐震性能の向上
○国内の歴史的組積造建築物の耐震性評価法と耐震補強
○文化財建造物の保存と活用計画
○GISによる文化財建造物の防災計画
○国宝・重要文化財仏像群の耐震対策
○地域の文化財建造物を災害から守るための研究
○地盤環境振動の予測・評価と対策
[Fund]
under construction
[Committee]
under construction
海外の地震国における世界遺産組積造建築物の耐震性
ギリシャは地中海沿岸の地震地域にあります。紀元前5世紀に建てられたギリシャ・パルテノン神殿は、長い歴史において幾多の強地震動に耐えています。その耐震性を明らかにするために、アテネ工大およびアクロポリス修復事務所との国際共同研究として、科学研究費補助金(H20-22年度基盤研究(B)海外の地震国における歴史的組積造建築物の耐震性に関わるモニタリング調査)により、パルテノン神殿の常時微動測定および地震モニタリング(jpg1)(jpeg2)を実施しています。
また、アテネ周辺には、1999年アテネ近郊地震で被災した世界遺産ダフニー修道院、1981年コリンス地震でも被災していない世界遺産オシオス・ルーカス修道院があります。これらのビザンチン教会の耐震性についても国際共同研究を計画しています。ギリシャ出張報告
地震災害を受けた世界遺産建造物の構造修復計画(PDF)
2006年ジャワ島中部地震で被災した世界遺産プランバナン寺院群(jpeg1)(jpeg2)の修復計画の立案を目的とした調査研究を地震直後から実施しています。地震直後から2年間、インドネシア政府の要請による日本政府調査チームの構造担当として、地盤調査、地震観測・微動測定や構造材料調査、耐震解析など構造修復計画の支援調査事業を実施しました。その後、科学研究費により、引き続き、学術調査(科学研究費基盤研究(A)ジャワ島中部地震で被災した世界遺産プランバナン寺院群の修復に関する保存工学的研究:研究代表者 上北恭史筑波大学世界遺産専攻准教授)として、亀裂・温湿度モニタリングによる構造安定性の評価や地震観測、地盤構造物系の動的応答解析を実施しています。
本研究は、文化財保存工学、インドネシア建築史の専門家らと学際的に実施しており、ガジャマダ大学、インドネシア観光文化省の協力を得て実施しています。
本研究は、文化遺産国際協力活動と位置付けられます。インドネシア・プランバナン寺院群のほか、引き続き2003年イラン・バム地震で被災した世界遺産中世歴史都市アルゲバム(jpeg1)(jpeg2)の修復計画を立案するための国際共同研究をイスファハン大学と共同で進めています。
途上国組積造住宅の地震災害軽減化研究(PDF)
H18-20年度科学技術振興調整費(地震防災に関するネットワーク型共同研究)の研究参加機関として、途上国組積造住宅の耐震性向上に取り組んでいます。この研究プロジェクトでは、実践的な耐震工法の研究開発を担当したが、そのなかで、とくにレンガ造住宅の実大スケールの試験体を作成し、防災科学技術研究所およびペルー・カトリカ大学において大型振動台実験(jpeg1)(jpeg2)(jpeg3)を実施しています。
実験では、崩壊に至るまでの実挙動を把握することができ、その記録は、途上国の研究機関で共有化し、それぞれの国での地震防災に役立てるようにしました。現在、社会人博士課程の学生がこの問題に取り組んでいます。ジョグジャカルタ出張報告
木造五重塔の耐震・耐風性能に関するモニタリング調査
伝統構法木造五重塔の耐震・耐風性能を明らかにするために、重要文化財法華経寺五重塔(千葉県市川市)において、地震・風モニタリングを行っています。約400年間の間、強い地震動や大きな台風に耐えてきた五重塔での地震・風モニタリングは、『五重塔は地震でなぜ倒れないか?』『五重塔は果たして台風に弱いのか?』の課題に対して極めて有効な知見を与えるものです。
地震観測では、加速度計を用いて心柱も含めた多点観測、風観測では、新しいモニタリング技術として、LEDを用いた画像計測技術を用いた動的変位観測を行っています。また、付近の無線柱を利用して、風向風速観測を同時に行っています。すでに、震度Wレベルの地震記録、最大瞬間風速30m/sレベルの台風時記録を得ています。
近年新築された伝統構法木造五重塔では、東京大学藤田香織准教授が行っている津観音五重塔の地震観測に協力しています。
伝統構法と新技術の融合による伝統的木造建築の耐震性能の向上
民間建設会社と共同で、新しい制震デバイスを開発し、連結制震システムによる伝統構法木造五重塔(東長寺五重塔、福岡市)の耐震設計を実施しています。このプロジェクトでは、竣工後に地震モンタリングを実施することになっており、設計解析および制震技術の有効性の検証を行う予定です。
国内の歴史的組積造建築物の耐震性評価法と耐震補強
世界遺産暫定リスト重要文化財富岡製糸場の耐震評価および耐震補強計画の支援研究を実施しています。木骨レンガ造の実大スケールの試験体による大型振動台実験や常時微動測定を行っています。また、特別史跡和田岬砲台(神戸市)の石造建造物の構造性能を把握するための実験や常時微動測定を行っています。
文化財建造物の保存と活用計画
約10年前に保存修理事業を実施した重要文化財自由学園明日館(東京都)は、フランクロイドライトの設計による近代の建築遺産であり、活用しながら保存するという動態保存の最初の好例です。とくに、明日館は文化財建造物の保存修復に関する新しい概念としての動態保存の成功例として挙げることができます。大成建設時代に、保存修理事業の構造補強検討を担当していましたが、約10年経過した現在、活用を前提とした保存修復計画の検証を行っています。社会人博士課程の学生の研究課題です。
GISによる文化財建造物の防災計画
東京文化財研究所に協力して、文化財建造物の防災対策のためにGISシステムを導入するための基礎研究を行っています。地域の文化財建造物の地震・台風対策として、利用できるように今後も検討を進める予定です。
国宝・重要文化財仏像群の耐震対策
天平時代に建てられ鎌倉時代に増築されたた東大寺法華堂には、数多くの国宝・仏像が立っています。東京文化財研究所に協力して、その耐震対策のための調査を実施しています。2009年度には建物の常時微動調査を実施しました。2010年度には、縮小模型を用いた振動台実験を三重大学で行っています。
地域の文化財建造物を災害から守るための研究
地域貢献の一環として、NPOが国からの助成を受けて実施している伊勢町屋の再生プロジェクトに協力して古民家の構造・耐震調査を実施しています。
地盤環境振動の予測・評価と対策
この研究課題は大成建設時代から引き続いて行っている課題です。社会人博士課程の学生が担当し、すでに工学博士の学位を取得しています。博士論文のタイトルは、『道路交通振動の加振力評価と低減対策(PDF)』です。